
賃貸マンションの建築費は、2025年の住宅着工統計(国土交通省)によると、共同住宅の全国平均坪単価でS造が約114万円、RC造が約116万円です。
ただし、この坪単価は建物本体の工事費をベースにした統計値であり、付帯工事費や諸費用を含んだ総額とは異なります。構造・地域・階数・設備グレードなど複数の条件で金額は大きく変動するため、相場の全体像を把握しておくことが大切です。
この記事では、最新の坪単価データから費用の内訳、自分の土地条件で建築費を概算する手順までを整理します。
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マンションの建築費を把握するうえで、まず確認しておきたいのが構造別の坪単価と地域による差です。なお、坪単価の情報を見る際は「何を含んだ坪単価か」に注意が必要です。
本体工事費のみの数字なのか、付帯工事費や設計料まで含んだ数字なのかによって金額は変わります。この記事では、国土交通省の住宅着工統計に基づく「工事費予定額ベース」の坪単価を基準に紹介していきます。
賃貸マンションの構造は、鉄骨造(S造)か鉄筋コンクリート造(RC造)のいずれかが一般的です。鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は分譲マンションや超高層建築向きの構造であり、個人が賃貸経営のために建てるケースではあまり選ばれません。
2025年の住宅着工統計(国土交通省)第34表から、貸家(賃貸住宅)の共同住宅に絞って算出した全国平均坪単価は以下の通りです。
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構造 |
1㎡あたり工事費予定額 |
坪単価換算 |
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S造(鉄骨造) |
34.6万円 |
約114万円/坪 |
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RC造(鉄筋コンクリート造) |
35.1万円 |
約116万円/坪 |
意外に感じる方も多いかもしれませんが、賃貸の共同住宅に限ると、S造とRC造の坪単価の差は小さくなっています。これはあくまで全国平均の統計値であり、個別の見積もりでは構造による差がもう少し開くケースもあります。
なお、分譲マンション(共同住宅)の場合はRC造で約130万円/坪と、賃貸より坪単価が高い傾向にあります。内装や設備のグレードが賃貸より高いことが主な要因です。土地活用として賃貸マンションを検討する場合は、上記の貸家の数値を目安にするのが妥当と言えます。
参照元:国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計 年次 2025年 第34表(e-Stat)
マンションの建築費は、建てる地域によっても大きく異なります。同じ住宅着工統計2025年第34表から、貸家×共同住宅の主要地域別坪単価を算出すると以下の通りです。
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地域 |
RC造 |
S造 |
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全国平均 |
約116万円/坪 |
約114万円/坪 |
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東京都 |
約147万円/坪 |
約133万円/坪 |
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神奈川 |
約134万円/坪 |
約127万円/坪 |
|
埼玉 |
約135万円/坪 |
約113万円/坪 |
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千葉 |
約136万円/坪 |
約113万円/坪 |
|
愛知 |
約102万円/坪 |
約112万円/坪 |
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大阪 |
約110万円/坪 |
約101万円/坪 |
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福岡 |
約89万円/坪 |
約106万円/坪 |
東京都のRC造は約147万円/坪と全国平均より約30万円高く、地域による差が大きいことが分かります。都市部の坪単価が高くなる背景には、人件費や資材運搬費の水準に加え、建物が密集するエリアでは大型重機の搬入に制約が生じ、追加の人員や手配が必要になるといった施工面の事情もあります。
ただし、建築費が高いことがそのまま不利になるわけではありません。都市部は家賃水準も高いため、建築費と将来の家賃収入のバランスで判断する必要があります。
参照元:国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計 年次 2025年 第34表(e-Stat)
マンションの建築費は「坪単価×延床面積」で概算できますが、それだけでは総額になりません。建築費は大きく3つの層に分かれており、坪単価で語られるのは主に「本体工事費」の部分です。
マンション建築にかかる費用は、以下の3つで構成されています。
本体工事費(全体の約70%)
躯体工事・内装工事・電気設備工事など、建物そのものにかかる費用です。坪単価はこの本体工事費をベースに算出されることが多く、建築費の中で占める割合も大きくなります。
付帯工事費(全体の15〜20%)
屋外給排水工事、外構工事(駐車場・塀・アプローチ等)、地盤改良工事などが含まれます。建築会社によっては本体工事費に含めて見積もるケースもあるため、複数社の見積もりを比較する際は「何が含まれているか」を確認することが大切です。
諸費用(全体の約10%)
ローン手数料、火災保険料、登記費用(登録免許税・司法書士報酬)、不動産取得税などが含まれます。一般的に自己資金で賄う費用であり、事前に準備しておく必要があります。
つまり、坪単価から算出した本体工事費に対して、付帯工事費として約20%、諸費用として約10%を上乗せしたものが、建築費の総額目安になります。
「自分の土地だとどのくらいかかるのか」を知るには、以下の3ステップで概算できます。
ステップ1:延床面積の上限を出す
まず、自分の土地の建ぺい率と容積率を確認します。容積率は「敷地面積に対してどのくらいの延床面積まで建てられるか」を示す数値で、建築できるマンションの規模を左右します。たとえば敷地面積80坪で容積率200%の場合、延床面積の上限は160坪です。
ステップ2:坪単価を掛けて本体工事費を出す
延床面積に構造別の坪単価を掛けます。RC造で全国平均の約116万円/坪を使う場合、160坪×116万円=約1億8,600万円が本体工事費の目安となります。
ステップ3:付帯工事費・諸費用を加算する
本体工事費に対して、付帯工事費(約20%)と諸費用(約10%)を加算すると、約1億8,600万円×1.3=約2億4,200万円が総額の目安です。
この計算はあくまで統計値をベースにした概算です。実際の建築費は、設計内容や設備の仕様、地盤の状態、建築会社の見積もり方によって変わります。正確な金額を把握するには、土地の条件を伝えた上で建築会社に見積もりを依頼するのが確実です。
坪単価の相場を把握した上で、実際の建築費がどのような条件で変動するかを知っておくと、見積もりを受け取ったときの判断に役立ちます。
構造の違いは建築費に影響します。統計上の全国平均ではS造とRC造の坪単価は近い水準ですが、RC造は耐久性・耐火性・遮音性に優れており、長期的な賃貸経営を見据える場合に有力な選択肢の一つとなります。一方、S造は工期が短い傾向にあり、建設スケジュールの面でメリットがあるケースもあります。
階数が増えるほど、構造を支えるための補強や揚重設備(建材を高所に運ぶ設備)が必要になり、坪単価は上昇する傾向にあります。また、戸数が増えれば水回り設備の数も増えるため総額は上がりますが、1戸あたりのコストはスケールメリットで下がるケースもあります。
設備のグレードも建築費を左右します。ハイグレードな設備を導入すれば資産価値は上がりますが、地域の家賃相場に見合わないと入居者が集まりにくくなるリスクもあります。「収益に見合うグレードをどこに設定するか」は、建築会社と相談しながら判断するのが望ましいでしょう。
間取りタイプでは、単身向けワンルームの方がファミリー向け2LDKより部屋数が多くなる分、キッチンや浴室などの水回り設備も増え、建築費がかさみやすくなります。
建築時期も見逃せない要因です。マンションの建築費は近年上昇傾向が続いています。建設物価調査会の建築費指数を見ると、特に2022年以降は上昇ペースが加速しており、資材費の高騰、人件費の上昇、建設業の時間外労働上限規制(2024年問題)の三重の要因が背景にあります。こうした構造的な要因を踏まえると、「もう少し待てば安くなる」という見通しは立ちにくい状況です。
ここまで整理してきたように、マンションの建築費は構造・地域・仕様で大きく変わり、ネット上の坪単価だけでは自分の土地に合った正確な金額は把握できません。「自分の条件だとどうなるか」を具体的に知るには、マンション建設の実績がある会社に土地の情報を伝えて、プランと見積もりを出してもらうのが確実です。
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