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相続税対策に賃貸マンション建設が有効な理由|仕組み・リスク・注意点を解説

所有地に賃貸マンションを建てると、土地・建物の相続税評価額を大きく圧縮できる可能性があります。ただし、節税の仕組みだけに目を向けると、空室や建設費用の負担、税務上の否認といったリスクを見過ごしかねません。この記事では、賃貸マンション建設で相続税評価額が下がる3段階の仕組みを国税庁の計算式に基づいて整理したうえで、踏み切る前に確認しておきたいリスクと注意点を解説します。

 

【この記事はこんな人におすすめ】

  • 所有地に賃貸マンションを建てる相続税対策に関心はあるが、判断材料が足りず踏み切れない方
  • ・節税効果だけでなく、空室リスクや建設費用といった注意点も把握してから動きたい方
  • ・賃貸マンションによる節税が税務署に否認されるケースがあると聞いて、不安を感じている方

 

賃貸マンション建設が相続税対策になるのはなぜか? 評価額が下がる3段階の仕組み

賃貸マンション建設による相続税の圧縮効果は、単一の仕組みで生まれるものではありません。建物の評価、土地の評価、特例の適用という3つの段階が重なることで、更地や現金で保有している場合と比べて評価額に大きな差が出る構造になっています。

まずはこの3段階の仕組みを順番に見ていきましょう。

建物の評価——固定資産税評価額は建設費より低くなる

建物の相続税評価額は、建設にかかった費用そのものではなく、固定資産税評価額がベースになります。固定資産税評価額は、建設費より低くなることが一般的とされており、建物を持っているだけで現金を保有している場合より評価額が下がりやすくなります。

さらに、その建物を第三者に賃貸している場合は「貸家」として扱われ、借家権割合(全国一律30%)に応じた控除を受けられます。計算式は以下の通りです。貸家の相続税評価額は、固定資産税評価額を基礎に、借家権割合と賃貸割合を踏まえて評価します

貸家の評価額 = 固定資産税評価額 ×1 − 借家権割合30% × 賃貸割合)

たとえば、建設費1億円のマンションの固定資産税評価額が6,000万円、満室(賃貸割合100%)であれば、貸家としての評価額は6,000万円 ×1 − 30%)= 4,200万円となります。建設費1億円に対して、相続税の計算上は4,200万円として評価される計算です。

土地の評価——「貸家建付地」として更地より評価が下がる

賃貸マンションが建っている土地は、相続税の評価上「貸家建付地」として扱われ、更地(自用地)よりも評価額が低くなります。土地の評価は、建物の賃貸状況を反映して下がる仕組みになっており、国税庁でも貸家建付地の評価方法が示されています。

貸家建付地の価額 = 自用地としての価額自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

参照元:No.4614 貸家建付地の評価(国税庁)

借地権割合は地域によって異なり、国税庁の路線価図で確認できます。借家権割合は全国一律30%です。たとえば、借地権割合70%・満室で賃貸割合100%の場合、土地の評価額は「自用地評価額 ×1 − 70% × 30% × 100%)」となり、自用地に比べて21%分評価が下がります。

ただし、空室のある部屋があっても、継続的に賃貸されている実態があれば、その扱いは一律ではありません。実際の評価では、相続時点の状況だけでなく、賃貸の継続性も含めて確認する必要があります。

更地のまま相続する場合は、原則として自用地として評価された金額が相続税評価の基礎になります。したがって、貸家建付地として評価されるだけでも、土地の評価額に一定の差が生まれます。

小規模宅地等の特例——200㎡まで50%の追加減額

3段階目は、小規模宅地等の特例による追加の評価減です。賃貸マンションの敷地は「貸付事業用宅地等」に該当する可能性があり、要件を満たせば200㎡までの部分について評価額を50%減額できます。

参照元:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(国税庁)

ただし、この特例には注意すべき条件があります。平成30年度の税制改正により、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は、原則として小規模宅地等の特例の対象外です。なお、継続的に貸付事業を行っていたかどうかなど、実務上の判定には個別の事情があります。

つまり、相続が近い時期に新たに賃貸事業を始めても、要件を満たさず特例が使えない場合があります。この点は後ほど詳しく触れます。

また、相続人が申告期限まで土地を保有し、貸付事業を継続していることなどの要件もあるため、事前に税理士へ確認しておくことが大切です。

 

評価額はどのくらい変わる?——更地との比較で考える

3段階の仕組みが重なると、更地のまま相続した場合に比べてどの程度の差が出るのでしょうか。ここでは、計算の考え方を整理するために、一定の前提条件を置いた例を見ていきます。

※実際の評価額は、土地の形状・地域の借地権割合・建物の規模・賃貸状況などによって大きく変わります。以下はあくまで仕組みの理解を目的とした概算であり、正確な試算には税理士への相談が必要です。

更地のまま相続した場合

路線価に基づく自用地評価額が1億円の土地を、更地のまま相続する場合を考えます。

更地の場合、相続税の計算上はこの1億円がそのまま課税対象になります。さらに、更地は住宅用地に対する固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)を受けられないため、保有期間中の固定資産税負担も割高になりやすいという側面があります。

賃貸マンションを建設した場合

同じ土地に賃貸マンションを建設し、満室で運営できているケースで考えてみます。前提条件として、借地権割合70%、借家権割合30%、賃貸割合100%とします。

まず、土地は貸家建付地として評価されます。1億円 ×1 − 70% × 30% × 100%)= 7,900万円で、更地に比べて2,100万円の評価減です。

次に、小規模宅地等の特例が適用できれば、200㎡までの部分についてさらに50%の減額を受けられます。

建物についても、固定資産税評価額をベースに借家権割合30%が控除されるため、建設費に対して相続税評価額は大幅に低くなります。

このように、3段階の仕組みが重なることで、更地や現金で保有している場合と比べて評価額に相応の差が生まれます。ただし、条件によって効果の幅は変わるため、自分の土地で具体的にどの程度の圧縮効果が見込めるかは、個別にシミュレーションしてみることが重要です。

 

賃貸マンション建設で見落としやすいリスクとは?

賃貸マンション建設による相続税の圧縮効果は、あくまで賃貸経営がうまくいっていることが前提です。節税効果だけに注目して建設に踏み切ると、想定外の負担に直面する場合があります。ここでは、事前に把握しておきたい代表的なリスクを整理します。

空室率が上がると節税効果も下がる

貸家建付地の計算式には「賃貸割合」が含まれており、空室が多いほどこの割合が下がります。賃貸割合は、賃貸されている各独立部分(部屋)の床面積を全体の床面積で割って算出されるため、空室が増えると土地・建物ともに評価額の圧縮幅が縮小してしまいます。

参照元:No.4614 貸家建付地の評価(国税庁)

つまり、建てただけで必ず大きな節税効果が出るわけではなく、長期にわたって安定した入居率を保つ賃貸経営ができてこそ、節税効果が維持されます。立地選定や建物の品質、管理体制といった賃貸経営の基本が、相続税対策の効果にも直結するということです。

建設費用の回収計画は慎重に見る必要がある

RC造(鉄筋コンクリート造)の賃貸マンションは、木造アパートに比べて初期建設費が高くなる傾向があります。その分、家賃収入で建設費用を回収するまでには一定の期間がかかります。

借入で建設する場合は、金利の動向やローン返済期間の設計も重要です。空室が発生した期間のローン返済は手元資金からの持ち出しになるため、家賃収入の見通しと返済計画をあらかじめ慎重にシミュレーションしておくことが欠かせません。

「相続税がいくら下がるか」だけでなく、「賃貸経営としての収支が成り立つか」という視点を持っておくことで、建設後に資金繰りで困るリスクを減らせます。

不動産は分割しにくい——遺産分割と納税資金の問題

相続財産に占める不動産の割合が大きくなると、相続人間で財産を公平に分けることが難しくなりがちです。賃貸マンションは現金のように簡単に分割できないため、誰がマンションを相続するかをめぐって相続人間のトラブルにつながるケースもあります。

また、不動産比率が高くなると、相続税の納税資金として使える現金が不足するおそれがあります。賃貸マンションを建てる前の段階で、相続人の人数・構成、他の財産の状況を踏まえた全体設計を行い、納税資金の確保も含めて検討しておくことが大切です。

 

税務署に否認されないために押さえておくべきポイントは?

賃貸マンション建設による相続税対策は、税法上認められた土地活用の手法です。ただし、進め方によっては「行き過ぎた節税」として税務署に否認されるリスクがあります。安心して進めるために、過去の判例や制度上の注意点を確認しておきましょう。

2022年最高裁判決で問題視された4つの特徴

2022年419日、相続税対策としてのマンション購入が否認された事案について、最高裁は国税当局の処分を適法と判断しました。この事案では、相続税の節税効果を主目的とみられる事情や、高齢時の購入、借入金依存などが重なっていました。

判決は購入型の相続税対策に関する事案であり、自分の土地に賃貸マンションを建てて継続的に賃貸するケースとは前提が異なります。しかし、「節税だけが目的」と見なされないよう、賃貸経営としての合理性を伴った計画にしておくことは重要です。

なお、令和6年(2024年)1月からは「居住用の区分所有財産(分譲マンション)」の相続税評価方法が見直されました。ただしこの見直しは区分所有の分譲マンションが対象であり、一棟建ての賃貸マンションには直接は当てはまりません。混同しやすい点なので、念のため留意しておいてください。

3年ルール」と早めの着手がもたらす安心

小規模宅地等の特例は、賃貸マンション建設による相続税対策の中でも大きな節税効果を持つ仕組みです。しかし、相続開始前3年以内に新たに貸付事業を始めた宅地は、原則としてこの特例の適用対象外とされています。

参照元:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(国税庁)

このルールがあるため、「相続が近づいてから急いで建てる」という進め方では、50%減額のメリットを享受できない可能性があります。逆に、早い段階で賃貸事業を始めておけば、要件を満たせる可能性が高まります。

相続税対策としての賃貸マンション建設は、「いつかやろう」と先送りするよりも、具体的に動き始めるタイミングが早いほど、制度面での安心感を確保しやすくなると言えます。

 

建設から管理まで一貫対応で長期の安定経営を支える——クラストの賃貸マンション

ここまで整理してきたように、賃貸マンション建設による相続税対策は「建てたら終わり」ではなく、長期にわたる安定した賃貸経営があってこそ効果を発揮します。建物の品質、入居率の維持、管理体制——これらが節税効果を支える土台となります。

クラストは、RC造(鉄筋コンクリート造)賃貸マンションの建設から管理までを一貫して対応しています。

耐用年数47年のRC造が、長期の資産価値と安定した入居率を支える

クラストが手がける賃貸マンションは、RC造が標準仕様です。法定耐用年数は47年。木造の22年より長いですが、実際の価値や収益性は、立地や管理状態にも左右されます。

耐久性だけではありません。RC造は一般に遮音性や耐火性にも優れ、設計次第で耐震性も確保しやすい構造です。退去率が下がれば空室期間も短くなり、安定した賃貸割合の維持につながります。相続税の評価額圧縮を長期にわたって機能させるうえで、建物そのものの品質は見過ごせない要素と言えます。

建設・管理・入居者募集まで一貫体制だから、初めてのマンション経営でも安心

賃貸マンション経営では、「建てる会社」と「管理する会社」が別々になるケースも少なくありません。その場合、建物の設計意図が管理側にうまく引き継がれず、入居率に影響が出ることもあります。

クラストでは、事業計画の企画から建設、入居者募集、建物のメンテナンスまでをワンストップで対応しています。首都圏・東海・近畿エリアで50年の実績のもと、地域の賃貸需要を踏まえた建築プラン提案から日々の管理まで、オーナー様に寄り添ったサポートをさせていただきます。

所有地での賃貸マンション建設を具体的に検討してみたい方は、必要に応じて土地活用の診断や個別相談を活用し、収支と税務の両面から検討するのがよいでしょう。

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